【ひな祭りの由来】三日月とひな人形と桃の花

「ひな祭り」の由来

ひな人形を飾って白酒を飲む「ひな祭り」のスタイルは、
旧暦を使用していた江戸時代に確立されました。
「ひな祭り」の由来は、3月の最初の巳(み)の日にあたる「上巳(じょうし)の節句」にあります。「上巳の節句」では、人の形をした紙や木片に自分の厄を移し、それを水に流すことによって自身の厄を祓う風習がありました。この人の形をした紙や木片を「人型(ひとがた)」と呼び、それが平安時代の貴族階級の幼い女の子の「ひいな(人形)遊び」と融合して「ひな人形」へ変化してきます。こうして、ひな人形をまつって女の子の健やかな成長を祈る「ひな祭り」の行事が根付いていくことになりました。

旧暦では3月最初の三日月の日

ちなみに3月3日は旧暦の日付です。旧暦の日付は月の満ち欠けと連動してるので、その昔、3月3日の「ひな祭り」と三日月はセットで認識されていました。3月の最初の三日月の夜が「ひな祭り」だったのです。
そして旧暦の上巳の節句の次期は桃の花が咲く時期でもあったので、「桃の節句」とも呼ばれています。

座敷のあんどんの薄明かりに照らされたひな壇。
障子を開けると庭の池に映った三日月が揺れています。
桃の花の香と三日月とひな人形。
この三つがそろってこそのひな祭りだったのです。
ー松村賢治「旧暦どっぷり(毎日新聞のコラム)」より引用

今年2021年のひな祭りは、4月14日

旧暦でいう今年2021年のひな祭りは、4月14日にあたります。
明治政府が1872年12月3日から、いきなり1873年1月1日と定めて新暦を使用したため、現在の新暦は1ヶ月ほど旧暦より早くなっているのです。
そして五節句はすべて旧暦の日付のまま新暦に移行されました。
4月14日であれば、桃の花も咲いていることでしょう。
桜はもう散っている頃かもしれませんね。
二十四節気でいう清明の頃、
かつての「ひな祭り」は、一年で一番気持ちのいい季節に行われた行事だったのです。

まとめ
五節句は旧暦を意識したいところ。
2021年の本来の五節句(旧暦)は以下の日付になります。
(偶然にも、なんか14日が多い 笑)

人日(じんじつ)(1月7日)➡︎2月18日
上巳(じょうし)(3月3日)➡︎4月14日
端午(たんご)(5月5日)➡︎6月14日
七夕(しちせき)(7月7日)➡︎8月14日
重陽(ちょうよう)(9月9日)➡︎10月14日

課題
旧暦の3月3日は大安になるように設定されていたらしい。
五節句と六曜の関係も調べてみたい。

この記事を書いた人

西田 めい

西田めい(にしだめい)
書籍編集者、ライター。大阪の編集プロダクション勤務から2022年4月に独立。
古事記、百人一首、源氏物語、枕草子、平家物語、奥の細道など、多数の古典関連書籍の編集、執筆を担当し、古典のおもしろさに目覚めました。柳田國男検定・初級合格(こんな検定あるんですよ、笑)。趣味はベランダガーデニング。
大学時代は軽音楽部だったので音楽が好きです。
著書に『二十四節気のえほん』(PHP研究所)、『はじめてであう古事記』上下巻(あすなろ書房)があります。お仕事のご依頼、ご相談などございましたら、お問い合わせフォームからお願い致します。