『家族の本』ができるまで

家の歴史、自分史をまとめるサービス

私はこれまで、数々の商業本の制作にかかわってきたのですが、
そのうちに「もっと目の前の人が喜んでくれる本を作りたい」と思うようになりました。
そして「自分が人のために役立てることは何か」を考えた時に、
個人の家の歴史や、自分の歴史をまとめる本のお手伝いをしよう!
と思い至ったわけです。
その後、いろんな方にご協力をいただき、
2年間くらい試作を重ねましたが、
家の歴史、自分史、というジャンルには迷いはありませんでした。
というのも、習字、くもん、ピアノなど全ての習い事を続けられなかった自分が、
唯一、9歳から今まで続いていることが「日記を書くこと」だったからです。

また、思春期ごろに近代文学にハマっていた影響で目にした
久米正雄さんの言葉にも影響されたと思います。ここに引用しましょう。

凡ゆる人は、みんな「私小説」の材料を持つてゐる。そして、誰でもが、表現力に於て恵まれてゐるならば、一つ一つ私小説を書き残して、死んで行くのが本当なのだ。

『「私」小説と「心境」小説』久米正雄

誰もが一生一度のドラマを生きている

偉人だけではなく、誰もが一生に一度のドラマを生きています。
私は1冊目に自分の母親の本を作りました。
母親は今年の春に亡くなり、「あの時、もっとああすればよかった」などの後悔もあります。
でも、『家族の本』に収められた写真の母親は笑っていて、
「オカンはいい人生を生きたよな」とも思えるのです。

この記事を書いた人

西田 めい

西田めい(にしだめい)
書籍編集者、ライター。大阪の編集プロダクション勤務から2022年4月に独立。
古事記、百人一首、源氏物語、枕草子、平家物語、奥の細道など、多数の古典関連書籍の編集、執筆を担当し、古典のおもしろさに目覚めました。柳田國男検定・初級合格(こんな検定あるんですよ、笑)。趣味はベランダガーデニング。
大学時代は軽音楽部だったので音楽が好きです。
著書に『二十四節気のえほん』(PHP研究所)、『はじめてであう古事記』上下巻(あすなろ書房)があります。お仕事のご依頼、ご相談などございましたら、お問い合わせフォームからお願い致します。