『イラスト図解 感染症と世界史』つくりました

古代から新型コロナウイルスまで

『イラスト図解 感染症と世界史』(宝島社)の編集を一部担当しました。Amazon、書店にてオンセールです。私が所属している編集プロダクションでは本によっていろんな関わり方をします。原稿を執筆することもあれば、すべての編集ディレクションをすることもあり。この本は他の人が台割り(本の設計図みたいなもの)をつくっていたので、私は台割りを見ながら組み立てるような関わり方をしました。

イラスト図解 感染症と世界史 人類はパンデミックとどう戦ってきたか

一言でいうならば、
人類の感染症の歴史を古代から現代(もちろん新型コロナウイルスまで)ザザッと俯瞰するような本です。
俯瞰するからこそ、見えてくるものが確かにあります。この本を監修されている神野正史先生は、感染症の歴史を俯瞰すると、いくつかの法則が見えるとおっしゃっていました。興味深かったのは以下の三つです。

感染症の歴史から見える三つの法則

一つ、自然との調和が乱れた時に感染症が発生する
例えば、古代における感染症は家畜との共同生活が一因でした。
また産業革命が起こって、劣悪な労働環境の工場に女性たちが押し込められた時代には結核が大流行しました。

二つ、人が移動した時に感染症が発生する
この最たるものがコロンブス交換です。大航海時代、ヨーロッパ人の移動によって旧大陸から新大陸へ天然痘が持ち込まれ、新大陸からは梅毒が旧大陸へ持ち込まれ、互いの国にあった感染症をうつしあうことになりました。

三つ、感染症は次の時代の扉が開く、きっかけになってきた
8世紀、日本では積極的に唐の文化を取り入れた天平文化の時代に、天然痘が大流行します。この悲惨な疫病に心を痛めた聖武天皇が奈良の大仏を建立し、日本に仏教が根付く土台となっていきます。この法則について、神野先生は「はじめに」でええこと言うてます。

真の飛躍の契機(きっかけ)はいつも必ず危機の中から生まれています。つまり、今我々の前に拡がる危機的・絶望的状況の中に、必ず〝明日への飛躍の種〟が隠れているということです。これを見出し、これを活かすことができた者だけが、アフター・コロナの新時代に飛躍する〝資格〟が与えられるのです。
「はじめに」より抜粋

 

自然との調和を乱すのは人の欲望か?

まさにこの三つの法則は当てはまっていると思います。
そして現在の新型コロナウイルスに関しては、「初期段階の封じ込めに失敗した」ということがよーくわかりました。また感染症ごとの罹患率を示す地図なども見ていると「なぜこの地域はこんなに感染率が高いのか??」とギョッとするようなこともありました。調べると内戦や戦争、政局の乱れなどの背景があるわけなんですね。

ちなみにステイホーム期間中、私も自然との調和を考えさせられた小ネタがありました。プランターにベビーリーフのタネをまいた時のこと。「ある程度芽が出たら間引いて間隔を取るように」という注意書きがあったのですが、つい欲張って「間引かないほうがいっぱい収穫できるんじゃないか」と思ってそのまんま放置しました。するとベビーリーフはワサッといっぱい成長したのですが、
よく見ると大量のアブラムシが発生! 
ギャアアー!

まるでブリューゲルの『死の勝利』の絵のような有様でした(この本の巻頭ページにこの絵を掲載しています)。自然との調和が乱れる原因の一つに、人間の欲望があるでしょうね。

14世紀中頃、ブリューゲルがペストの大流行を題材に描いた『死の勝利』。

 

 

この記事を書いた人

西田 めい

西田めい(にしだめい)
大阪の編集プロダクション勤務。書籍編集者。
古事記、百人一首、源氏物語、枕草子、平家物語、奥の細道など、多数の古典関連書籍の編集、執筆を担当し、古典のおもしろさに目覚めました。
趣味はベランダガーデニング。
大学時代は軽音楽部だったので音楽が好きです。
著書に『二十四節気のえほん』(PHP研究所)があります。