立春(りっしゅん)2月4日~2月18日  in 兵庫県南部

「節分」は大晦日の行事だった

2020年の立春は2月4日から。その前に節分がありますね。
旧暦を使っていた昔、立春は1年の始まりであるお正月の目安になっていました。元旦は、立春にもっとも近い新月の日に設定されていたからです。そして立春の前日にあたる大晦日が節分にあたり、邪気を払う「追儺(ついな)」の行事が行われていました。下級役人の中から選ばれた大男が子どもたちを引き連れ、「儺遣らふ(なやろう)」と大声を張り上げながら、目に見えない鬼を追って宮中と都を練り歩いていたそうです。この鬼を追い払う役の大男が恐ろしい格好をしていたことから、鬼と間違われて追われるようになり、現在の「鬼追い」へと発展しました。今では除夜の鐘が大晦日の風物詩ですが、昔は外から聞こえる「儺遣らふ(なやろう)」の声を聞きながら大晦日の夜を過ごし、新年が始まっていたのです。

『蜻蛉日記』に登場する「追儺(ついな)」シーン

この追儺のシーンは『蜻蛉日記』の中巻の終わりと、下巻の終わりに見ることができます。作者の藤原道綱の母はセレブ御曹司である夫を待ち続け、月日がすぎていつの間にか年末の鬼やらいの来る時になっていることに自分でもあきれた心地でいます。

子どもも大人もみな「なやろう、なやろう」と騒いでいる。
私だけが何もすることもなく見ていると、この人たちは何でも愉快なことはやっておきたい!
という陽気な人のように見えるのだ。
ー『蜻蛉日記』の中巻の終わりの概訳

外はみんな陽気に騒いでいるのに、藤原道綱の母の心中は暗い。セレブ御曹司の夫がいて、この人自身もセレブなのに、心が満たされないことってあるんだなあ、と思いました。『蜻蛉日記』を読んでいると、どう考えても外で鬼やらいをして騒いでいるほうが楽しそうに思えてきます。それくらい、この時代の貴族階級の女性はストレスを抱えていたことがわかります。

まとめ

行事は楽しんだもの勝ち!
「節分」を盛り上げるために、恵方巻き(おもに関西では)と豆を用意しておこう。

次回は
雨水(うすい)2月19日~3月3日

この記事を書いた人

西田 めい

西田めい(にしだめい)
書籍編集者、ライター。大阪の編集プロダクション勤務から2022年4月に独立。
古事記、百人一首、源氏物語、枕草子、平家物語、奥の細道など、多数の古典関連書籍の編集、執筆を担当し、古典のおもしろさに目覚めました。柳田國男検定・初級合格(こんな検定あるんですよ、笑)。趣味はベランダガーデニング。
大学時代は軽音楽部だったので音楽が好きです。
著書に『二十四節気のえほん』(PHP研究所)、『はじめてであう古事記』上下巻(あすなろ書房)があります。お仕事のご依頼、ご相談などございましたら、お問い合わせフォームからお願い致します。