立春グルメで早春を寿ぐ 2022年2月4日

立春の前日が節分

冬が終わり、春になって1年が始まる日の目安となっていたのが二十四節気の立春です。まだまだ寒い最中ですが、冬至以降、少しずつ日が長くなっていることにお気づきでしょうか。冬至の頃は17時には真っ暗になっていたのが、今は17時半くらいまでは茜空です。

立春の前日が今日、2月3日の節分です(大寒と冬の土用の最終日でもある)。旧暦では立春から1年が始まるので、その前日はつまり1年の最後の日、大晦日ということになります。そこで昔の宮中では鬼を払う「追儺(ついな)」の行事が行われるようになり、現在の節分に豆まきをして鬼を追い払う庶民の行事となっていきました。豆まきが終わった後に、1年の無病息災を願って自分の年の数だけ(または1つ多く)豆を食べるのは、年末に年神様をお迎えする意味もあったのでしょう。現在では節分の豆まきは年明けの行事になったの年神様をお迎えするくだりがピンと来ない状況になってきてますね。

立春に食べる縁起物リスト

今年は会社に行かず自宅勤務が増えているので、どこかの神社の節分神事に行ってみたい、と考えておったのですが、コロナの影響で軒並み中止の様相です。ヤレヤレ。
仕方がないので、自宅で節分の豆まきをして恵方巻きを食べ、
立春に食べる縁起物を実践してみようと思い立ちました。

立春に食べる縁起物リスト
・立春大吉豆腐
節分に豆腐を食べることによって「罪や穢れを払う」、立春に豆腐を食べることによって「清められた体に幸福を呼び込む」とされている。白い豆腐には「邪気を追い祓う霊力が宿る」と考えられたことから、白いまま食べることがポイントらしい。よって、醤油をかけたりするのはダメ。

・立春朝搾り
立春の早朝に搾りあがったばかりの生原酒のこと。日本名門酒会加盟の酒販店で限定販売されているようです。

・立春生菓子
立春の朝に作られた生菓子のこと。桜餅やうぐいす餅、椿餅など、春らしさがあるものや、大福でもアリ。その日のうちに食べると縁起がいいとされている。伊勢名物の赤福さんでは「立春大吉餅」が販売されているそうで、これもいつか食べてみたい。

わが家では、立春大吉豆腐を実践してみました。白味噌仕立てにして、ゆずとホウレンソウを添えてみたりして。菜の花があれば春らしくてよかったのですが、ホウレンソウしかなかった。普段は白味噌圏外なのであまり食べないのですが、甘くて美味しいですね。

(補足)白は日本人にとって特別な色

縄文時代から日本にあった色は赤色でした。血や肉、太陽、火の色であり、呪術用の土器にも使われてきました。これに対して白は日本人にとって純粋で神聖な色。『古事記』にも神の使いとして白い動物が幾度も登場します。稲羽(いなば)の素兎(しろうさぎ)はサメに皮を剥がれた裸(あかはだ)の姿で登場しますが、オオクニヌシに出会うことで元の神聖な白い姿を取り戻します。これは白味噌、白い豆腐から思い出しましたが、
最終的には立春と関係なくなってきたので、補足(蛇足か?)としました。

この記事を書いた人

西田 めい

西田めい(にしだめい)
書籍編集者、ライター。大阪の編集プロダクション勤務から2022年4月に独立。
古事記、百人一首、源氏物語、枕草子、平家物語、奥の細道など、多数の古典関連書籍の編集、執筆を担当し、古典のおもしろさに目覚めました。柳田國男検定・初級合格(こんな検定あるんですよ、笑)。趣味はベランダガーデニング。
大学時代は軽音楽部だったので音楽が好きです。
著書に『二十四節気のえほん』(PHP研究所)、『はじめてであう古事記』上下巻(あすなろ書房)があります。お仕事のご依頼、ご相談などございましたら、お問い合わせフォームからお願い致します。