【レア授与品】京都・八坂神社 粥杖(かゆづえ)の由来

旧正月の由来

月の満ち欠けを基準にした旧暦では、1月 15日が一年で最初の満月であり、小正月(現代でいう旧正月)です。現在は太陽暦なので明日の15日は満月じゃありませんが、小正月までは「松の内」と言われ、松飾りなどをこの日まで飾ります。そして左義長やとんど焼きで松飾りを焼いて仕舞うのが習わしでした。

正月明けの八坂神社。今年は人が少なめなんでしょうね。

いにしえの小正月は「粥杖しばきDAY」だった

平安時代の宮中では、この日に米やゴマ、小豆、アワなどで粥をつくって食べる習慣がありました。そのお粥をかき混ぜる棒は「粥杖(かゆづえ)」とよばれ、邪気を払う桃の木の枝が使用されていました。この粥杖で女性の腰や尻を打つと「子どもを授かる」という風習があったのです。
老若男女、この日ばかりは身分に関係なく、
すきあらば粥杖でしばきあう

この行事、宮中では大変盛り上がる特別な日だったようで
『枕草子』『狭衣日記』『弁内侍日記』『とはずがたり』、
女性たちはみんな日記にこの行事のことを書いています。この時代の女性にとって日記に書かずにはおれんくらい楽しい催しだったのでしょう。

祝食すれば年内の疫病厄難を解除できる

で、私はいにしえの女性たちがこぞって日記に書いている粥杖とはどんなものなんだろう?と長年気になっておりました。すると京都の八坂神社で正月限定のレア授与品として粥杖があるということを聞いたのです。そして先日、念願叶って正月期間中に八坂神社に行くことができました。普通の授与品売り場には並んでいないようで、売り場の人に声をかけると販売してもらえるというレア感がありました。

粥杖
意外と小さいサイズ! しばき合うイメージから入ったので、てっきりもっと大きいと思ってました。初穂料は1000円。

粥杖に挟んであった「由来」によると、この粥杖は
スサノヲノミコトの故事に由来しており、
正月十五日に小豆粥をこの杖でかき回して神に供え、
家族そろって祝食すれば年内の疫病厄難を解除できる
とのこと。
これはありがたいものです。
(本当は15日の朝に食すらしいけど、平日はバタバタするので今年は夜にしよう。。)

ついでに細見美術館とカフェ「コチ」に寄り道

ついでにこの日は、細見美術館の「吉岡幸雄の仕事と蒐集 日本の色」の展示にも足を運び、

展示内容の撮影は禁止でした。

京都市役所近くのブックカフェ「コチ」にも行けました。
コロナ禍になってからブックカフェでのんびりすることもままならなくなっていたので久々にその場でなんとなく出会った本を読んで、美味しいコーヒーを飲む時間にありつけました。ここの塩キャラメルとナッツのクレープがめっちゃ美味しかったです。

この記事を書いた人

西田 めい

西田めい(にしだめい)
書籍編集者、ライター。大阪の編集プロダクション勤務から2022年4月に独立。
古事記、百人一首、源氏物語、枕草子、平家物語、奥の細道など、多数の古典関連書籍の編集、執筆を担当し、古典のおもしろさに目覚めました。柳田國男検定・初級合格(こんな検定あるんですよ、笑)。趣味はベランダガーデニング。
大学時代は軽音楽部だったので音楽が好きです。
著書に『二十四節気のえほん』(PHP研究所)、『はじめてであう古事記』上下巻(あすなろ書房)があります。お仕事のご依頼、ご相談などございましたら、お問い合わせフォームからお願い致します。