補陀落浄土へ渡ったカメラマン

お盆の最終日、ポストに本が届いておりました。
それは前職場で仕事仲間だったカメラマンさんの追悼写真集でした。
彼は今年の春に亡くなりました。
その死を悼んだ社長の呼びかけによって、彼と共に仕事をした
ライターさんや編集、デザイナーなどいろんな人が寄稿し、私も原稿を送っていたものが出来上がったのです。

表紙を見た瞬間、ハッとしました。
浜辺に打ち上げられた那智黒石(なちぐろいし)。。
たぶん和歌山県那智勝浦市の浜辺でしょう。
熊野那智大社の南に位置するこの海は、補陀落浄土(ふだらくじょうど)信仰の中心地です。
補陀落浄土とは、観音様の浄土のことで、南の彼方の海にあるとか。

10年前、私も前職場にいた頃は「那智黒石で碁石が作られている」くらいまでは知っていたのですが、
補陀落浄土までイメージしなかったと思います。
その後、書籍編集の会社で平家物語のあらすじ解説本を作り、
平清盛の孫にあたる平維盛(たいらのこれもり)が補陀落渡海(ふだらくとかい)するシーンがあったので、
その背景を知りました(補陀落渡海は補陀落浄土を目指して小舟で大海原に漕ぎ出す捨身行のこと)。

あの人は補陀落浄土に渡られたんでしょうか。

子供の夏休みで忙殺されており、「書きたい」気持ちも消え失せていたのですが、
久々に心が揺さぶられ、何か書かずにおれなくなりました。

私の寄稿

この記事を書いた人

西田 めい

西田めい(にしだめい)
書籍編集者、ライター。大阪の編集プロダクション勤務から2022年4月に独立。
古事記、百人一首、源氏物語、枕草子、平家物語、奥の細道など、多数の古典関連書籍の編集、執筆を担当し、古典のおもしろさに目覚めました。柳田國男検定・初級合格(こんな検定あるんですよ、笑)。趣味はベランダガーデニング。
大学時代は軽音楽部だったので音楽が好きです。
著書に『二十四節気のえほん』(PHP研究所)、『はじめてであう古事記』上下巻(あすなろ書房)があります。お仕事のご依頼、ご相談などございましたら、お問い合わせフォームからお願い致します。