お盆の最終日、ポストに本が届いておりました。
それは前職場で仕事仲間だったカメラマンさんの追悼写真集でした。
彼は今年の春に亡くなりました。
その死を悼んだ社長の呼びかけによって、彼と共に仕事をした
ライターさんや編集、デザイナーなどいろんな人が寄稿し、私も原稿を送っていたものが出来上がったのです。
表紙を見た瞬間、ハッとしました。
浜辺に打ち上げられた那智黒石(なちぐろいし)。。
たぶん和歌山県那智勝浦市の浜辺でしょう。
熊野那智大社の南に位置するこの海は、補陀落浄土(ふだらくじょうど)信仰の中心地です。
補陀落浄土とは、観音様の浄土のことで、南の彼方の海にあるとか。
10年前、私も前職場にいた頃は「那智黒石で碁石が作られている」くらいまでは知っていたのですが、
補陀落浄土までイメージしなかったと思います。
その後、書籍編集の会社で平家物語のあらすじ解説本を作り、
平清盛の孫にあたる平維盛(たいらのこれもり)が補陀落渡海(ふだらくとかい)するシーンがあったので、
その背景を知りました(補陀落渡海は補陀落浄土を目指して小舟で大海原に漕ぎ出す捨身行のこと)。
あの人は補陀落浄土に渡られたんでしょうか。
子供の夏休みで忙殺されており、「書きたい」気持ちも消え失せていたのですが、
久々に心が揺さぶられ、何か書かずにおれなくなりました。