【おみくじの順番】吉凶に一喜一憂するより、神と人を結びつける詩歌を読み解く

2025年、明けましておめでとうございます。
初詣でおみくじを引いたところ、私は「大吉」で夫は「吉」。
浮かない顔をしていた夫ですが、その神社におみくじの吉凶の順番をたずねてみたところ、

大吉→吉→中吉→小吉→末吉→凶

とのこと。
夫は「てっきり凶の次が吉だと思っていただけど、意外といい」と喜んでおりました。

そこで不思議になったのが、おみくじの吉凶の順番です。
「ネットの情報だけでは信用ならん」と思って、文献も当たってみました。
結論としては、
「吉凶の順番は、おみくじを引いた神社や寺院に尋ねるのがよろしい」
ということでした。

2025年のおみくじ

全国的には上に示した順番が多いようですが、
大吉→中吉→小吉→吉→末吉→凶
のパターンもあり、結局はおみくじを引いた場所による、とのこと。
私も独自にリサーチしたところ、少数派ではありますが、確かに大吉→中吉のパターンもありました。現在のおみくじの原点が元三大師(※)にあることから、天台宗系の寺院にこの少数派パターンがあるのか?と仮説を立てて調べてみたものの、法則性は見いだせず。

神社、寺ともに共通の見解としては、
「おみくじは神仏の神聖なお告げを、詩歌に乗せて示したもの。吉凶に一喜一憂するより、寺のおみくじなら漢詩、神社のおみくじなら和歌で示してある部分こそが一番大切」
神と人を結びつける詩歌を内証する、
これが本来の受け止め方のようです。

そういえば、2022年のブログ初めのおみくじはいいことが書いてありました。
「晴朗風月(せいろうふうげつ)一銭の買うを用いず」(清々しい風や月は、いつでも手に入れることができる)

夕暮れ、テラスのバラ。枯れてくると花弁の縁が赤くなるのが美しいと思った瞬間。こういう瞬間を大切にしろってことかな。

 

まとめ
おみくじの順番は
大吉→吉→中吉→小吉→末吉→凶
が多いが、くじを引いた場所による。
吉凶よりも詩歌を内証するべし

(※)元三大師
天台宗比叡山の第18世座主 良源(912~985)のこと。中世以降は民間において「厄除け大師」として信仰を集め、「角大師(つのだいし)護符」に鬼の姿で描かれました。江戸時代初期、天台宗の高僧だった天海の夢枕に元三大師(良源)が現れ、「信州の戸隠山明神に「觀音百籤(かんのんひゃくせん)」というものがあるので、それで吉凶禍福を占うべし」と言ったとする伝承から、元三大師(良源)はおみくじの創始者といわれています。

魔除けの護符とされる角大師のお札。実家の近くにこれを貼っている家が多くて、昔は怖かった記憶がある。

参考文献
『おみくじの歴史』平野多恵(吉川弘文館)、『疫神病除の護符に描かれた元三大師良源』(サンライズ出版)など

この記事を書いた人

西田 めい

西田めい(にしだめい)
書籍編集者、ライター。大阪の編集プロダクション勤務から2022年4月に独立。
古事記、百人一首、源氏物語、枕草子、平家物語、奥の細道など、多数の古典関連書籍の編集、執筆を担当し、古典のおもしろさに目覚めました。柳田國男検定・初級合格(こんな検定あるんですよ、笑)。趣味はベランダガーデニング。
大学時代は軽音楽部だったので音楽が好きです。
著書に『二十四節気のえほん』(PHP研究所)、『はじめてであう古事記』上下巻(あすなろ書房)があります。お仕事のご依頼、ご相談などございましたら、お問い合わせフォームからお願い致します。