夏越しの祓え1

●夏越しの祓えとスサノヲ
夏越の祓え(なごしのはらえ)は、半年分の穢れを祓う神事。
6月末になると日本各地の神社で
「茅の輪くぐり」が行われています。
以前、この「茅の輪くぐり」について調べていたら、
ヤマタノオロチ退治の神話で有名なスサノヲとつながっていて、
興味深いと思っておりました。
この度、さらに調べていくうちに
岩手県の蘇民祭という裸祭りとリンクし、
テンションが上がったので、書いておこうと思います。

息子と茅の輪

↑息子と立ち寄った近所の神社

●茅の輪とスサノヲの関係
鎌倉時代中期、卜部兼方(うらべかねかた)によって記された
『釈日本紀』が出典となるようです。

この書物に『備後国風土記』(今は現存しない風土記)
の引用文があり、茅の輪とスサノヲが関連する神話があります。
あらすじはこんな感じ。

ある村に蘇民将来(そみんしょうらい)という兄弟いた。
兄は貧しく、弟は富み栄えていた。
そこへ武塔神(むとうしん)がその村へやってきて、
一夜の宿を求めたところ、
富み栄えている弟は冷たくあしらい、
貧しい兄はその神を温かくもてなした。
その後、その神は兄の一族の腰に
小さな茅の輪をつけさせて、
疫病から守ったという。
その武塔神がスサノヲだったのだ。
【参考資料『荒ぶるスサノヲ、七変化』(斎藤英喜・吉川弘文館)】

この茅の輪が、夏越の祓えの茅の輪くぐり神事の起源となっていったそうです。
人が通れるほど茅の輪が巨大になったのは江戸時代くらいから。

私はこの話を読んで
「そうそう、金持ちはケチ、貧しい人のほうが心温かいとかってよくあるよね〜!」
と思っていました。まあ、単なるヒガミですが!
とはいえ、このような一般民衆のヒガミ思想からこの話は形成されたのかな、と。
平家物語もそうですが、大抵の物語は一般大衆の願望やインパクトの強さで形成されていきますから。

大和神社

↑大和神社(おおやまとじんじゃ)奈良県天理市
の茅の輪はとっても野性味がありますね

まとめ
一晩の宿を求めてきた神には優しくしておきましょう。
まあ、ない。そんなシチュエーション

余談
『釈日本紀』は『日本書紀』の体系的な注釈書だけど、
中世の人たちにとって注釈という行為は原典を忠実に解説するというよりは、
新しい解釈を加えていく行為だったらしい。
全然関係ないのですが、なんかこの人を思い出します

このスサノヲ神話「疫隈国社(えのくまのくにつやしろ)」は
広島県福山市の素盞嗚神社の縁起譚で、
この縁起譚が祇園社の本縁であることが述べられることから、
スサノヲが八坂神社の祭神となり、祇園祭と関係することになるようです。
その辺りは、またの機会に。

この記事を書いた人

西田 めい

西田めい(にしだめい)
大阪の編集プロダクション勤務。書籍編集者。
古事記、百人一首、源氏物語、枕草子、平家物語、奥の細道など、多数の古典関連書籍の編集、執筆を担当し、古典のおもしろさに目覚めました。
趣味はベランダガーデニング。
大学時代は軽音楽部だったので音楽が好きです。
著書に『二十四節気のえほん』(PHP研究所)があります。